どこまでが医療行為? 介護職員がしてもいいこと・いけないこと

介護の現場で、「これって医療行為?」と悩むことはありませんか。素早い対応が求められる身体介護において、介護職員ができる行為とできない行為、その線引きがあいまいになっていることが多いようです。
現場で迷うことのないよう、ここでしっかりおさらいしておきましょう。

医療行為は不可、でもこんな行為は可能

介護職は、医療の知識はほとんど求められません。ですので基本的には、介護職員は医療行為を行ってはいけないことになっています。

●介護職員が行える行為

爪切り/耳掃除/口腔内の清拭/体温測定、自動血圧計による血圧測定/軽い傷の手当/パルスオキシメータ装着(新生児以外で入院不要な者)/ストーマ装具のパウチにたまった排泄物を捨てる/自己導尿のカテーテルの準備・体型保持/浣腸

▶ 医薬品の使用の介助に対しての前提条件(※)を満たした場合に行える行為

軟膏の塗布/湿布の貼り付け/目薬の点眼/内服薬の内服/坐薬の挿入/鼻腔粘膜への薬剤噴射

  • (※)①対象者が入院治療の必要がなく容体が安定していること
  • ②薬の使用に関して医師や看護職員による連続的な経過観察が必要でないこと
  • ③介助する医薬品の使用方法そのものについて専門的配慮が必要でないこと

これらには、一般家庭で普通に行われている行為も含まれますが、それを仕事として第三者に行うことになるので、さらなる安全性が求められます。

●介護職員が行ってはいけない行為

褥瘡(床ずれ)などの処置/たんの吸引/点滴/摘便(便を指でかきだすこと)/爪白癬(爪の水虫)などにかかっている人の爪切り/経管栄養の注入など

以上は介護の現場では頻繁に行われる医療行為ですが、介護職員が行うことは許されていません。

各自が役割をしっかり理解して

介護職員が医師や看護師の指示のもとで行う行為でも、ときには「医療行為に該当するかどうか」がはっきりしないまま、指示が出される場合もあります。こうなると、責任者やケアマネジャーの知らないところで、介護職員が日常的に医療行為をしてしまう、という事態にもなりかねません。
これを防ぐには、実際に介護をする職員はもちろん、医師・看護師なども含めたそれぞれの専門職が、正しく制度と役割を理解することが大切です。そのうえで、情報を共有し、チームとして連携して動くことが必要になります。
実際の現場で、ケアプランと異なる行為が必要とされたときなど、医師も看護師も不在のときは、まずケアマネジャーと相談し、指示を確認してもらうようにしましょう。

現場で流されない知識をもとう

利用者の緊急事態であったり、命令されて知らないうちに医療行為をしてしまう、ということは、実は介護の現場ではよくあることです。繰り返しになりますが、してもいい行為、してはいけない行為はしっかり頭に入れておくこと。そして、明らかな医療行為であるのに、命令ではなく自ら率先して行うことは絶対に避けましょう。これくらいなら、と思っても、万一事故があったときに取り返しがつかなくなります。

もし、職場で介護士が日常的に医療行為を行うなどの状況があり、おかしいと思ったら、上司や同僚と相談して、改善してもらったほうがいいでしょう。それでも改善がみられなかったり、あまりひどい場合には、疑問を感じながら従うより、他へ移ることも考えたほうがいいかもしれません。

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