もしかして振り込め詐欺?~利用者を詐欺から守るために介護従事者ができること~

何かと理由をつけてお金を振り込ませようとする「振り込め詐欺」。もっともよく知られているのは身内を装う「オレオレ詐欺」ですが、その他にも「老人ホーム権利金詐欺」「架空請求」「還付金詐欺」など手口は多様化しています。

そして平成26年度中に発生した振り込め詐欺の被害者は、96%が60歳以上の高齢者。金銭的にも余裕があり、若い人に比べて判断能力が衰えている高齢者は、残念ながら格好のターゲットとなっているようです。
もし、いつも介護の現場で接している方の様子がおかしいと感じたら…こういったトラブルに巻き込まれている可能性も考えられますね。

そんな時、介護従事者はどんな対応をとるべきなのでしょうか。

ケース①詐欺現場に居合わせた時は?

振り込め詐欺のきっかけになるのは、自宅にかかってくる1本の電話。
この時にたまたま居合わせたヘルパーが異変を察知し、見事に詐欺被害を防いだ事例も報告されています。

「電話口で困った様子をしていた」

「電話を切ってすぐどこかに出かけようとする」

といったいつもと違う行動は、1つのサインかもしれませんね。
もしかしてと感じたら、警察に通報する前にまず利用者を「引き留める」ことを優先しましょう。
誰からどんな内容の電話がかかってきたのかを確認し、説明しているうちに本人が少しずつ冷静さを取り戻すケースもあります。
中には個人的な事情を詮索されるのを好まない方もいますが、そういった場合は介護事業所やご家族にも連絡して、応援を頼みましょう。

ケース②「詐欺にあったかもしれない」と感じた時は?

常に高齢者の身近に誰かがいれば、ケース①のように事前に被害を防ぐこともできます。
でも、もし「最近元気がないようだ」「お金に困っているようだ」という様子が見られたら…。残念ながらすでに詐欺被害にあってしまった後かもしれません。直接現場を目の当たりにしていないだけに、家族でもない自分がどこまで立ち入って良いものか…と迷ってしまう状況ですね。

このように緊急性のないケースでは、単独で判断せずにまずは同僚や責任者である上司に相談、必要であればご家族に報告という手順を踏みましょう。もし口座から多額の現金が動いていることが確認されれば、やはり詐欺被害にあった可能性は高くなります。
そこから先はご家族の役目になりますが、警察以外にも消費者生活相談センターなどの窓口があること、『振り込め詐欺救済法』で被害金が一部返還されるケースもあること、などを説明しておきましょう。

特に注意が必要な認知症患者への対応は?

判断能力の低下を気にしている初期の認知症患者の場合、詐欺にあった事を自分の失敗ととらえ、隠したがる傾向が見られます。無理に聞き出して不快な思いをさせれば、また同じような状況になった時はさらに周囲が異変に気付きにくくなってしまうでしょう。

介護従事者の役目は真実を追求することではありません。目の前にいる高齢者を詐欺被害から守ること、または被害にあってしまった方とご家族のサポートをすることです。
場合によっては他の方へバトンタッチした方が良いかどうか、自分が対応可能なラインを見極めることも大切ですね。

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