心と体に効く! 高齢者向けのセラピーとは?

厳しい現代社会を生きる人々を癒す、新しい治療技術、それがセラピーです。
病気の改善からストレス解消まで、幅広いニーズにこたえる各種セラピーは、医療や薬を使わない治療術のため、副作用もなく、身体に負担のかからない方法として選ばれることが増えてきています。
最近では高齢者に対してもその効果が注目され、人気が高まっているセラピー。
今回は、高齢者向けのセラピーにはどんなものがあるのか、そしてどのような効果が期待できるのか、ご紹介していきたいと思います。

高齢者に効くセラピーはこんなにある

無理なく穏やかに心身を癒してくれるセラピーは、高齢者にはぴったり。介護施設でも、セラピストを呼んで入居者に施術してもらう機会が多くみられるようになりました。
中でも高齢者におすすめなものは、アニマルセラピー、メイクセラピー、音楽セラピー、ダンスセラピー、アートセラピー、ハンドセラピー、アロマセラピーなど多種多様。
それぞれ、詳しく説明していきましょう。

●アニマルセラピー

アニマル

ペットを飼っている家では、認知症の高齢者がいてもそれほど手がかからないといいます。ペットとの触れ合いは子どもから大人まで、みんなを笑顔にしてくれるのです。
人間は動物を見ると本能的に「可愛い」と感じる・・・この心理を利用したのがアニマルセラピーです。介護施設でも、訓練された犬と高齢者が一緒に過ごすレクリエーションなどを行ったり、中にはペットを飼っている施設も。
アニマルセラピーは、リラックス効果とともに心の中の自然な愛情を呼び起こします。また、ただ触れ合うだけでなく、例えば犬をブラッシングするなどのリハビリを行うと、一般的なリハビリよりも効果が高いといわれています。
海外では歴史も古く、広く採り入れられているアニマルセラピー。日本でも今後さらにニーズが高まっていきそうです。

●メイクセラピー

メイク

長年お化粧をしていない高齢女性や、顔のあざや傷などの悩みを持つ女性に、綺麗にお化粧を施すことで心理的な効果を発揮するのがメイクセラピーです。
「変わっていく鏡の中の自分を見ていると心がうきうきしてくる」「綺麗になったら外に出たくなった」など、ポジティブな気持ちになれたり、人の手でメイクしてもらうスキンシップが心を和ませたりと、体験した高齢女性にとても喜ばれています。
メイクセラピーを行うボランティア団体が施設を訪問したり、セラピスト養成講座や高齢者向けのメイク教室など、さまざまな試みが各地で行われ、人気を集めていることから、今後、メイクのもつ癒し効果はますます注目されていくでしょう。

●音楽セラピ―

音楽

音楽による心身のリラックスと健康回復をはかる療法が音楽セラピー。認知症の改善や、ターミナルケア(終末期医療)に力を発揮するといわれ、日本でも広がりつつあります。
音楽セラピーには、うつ症状の軽減や記憶力の改善、攻撃的な言動を抑えるなど、多くの効果がみとめられ、末期の認知症患者でも反応を示すといわれます。また、懐かしい曲を聴くことで昔の記憶を呼び覚ました例も多く、高齢者にはとくに適したセラピーとして、期待が高まっています。

●ダンスセラピー

ダンス

1940年代にアメリカで始まったダンスセラピーも、徐々に広まってきています。音楽に合わせて体を動かし、脳を活性化する療法で、認知症によるイライラ、暴言など不安定な精神状態を改善し、穏やかでリラックスした気持ちを取り戻すことができます。
身体を動かすことで生きる気力がわいてきたり、懐かしい曲をかければ音楽セラピー的な効果も加わり、身体機能の維持や認知症の軽減が期待できるダンスセラピー。医療機関や介護施設でも取り入れるところが増えてきているようです。

●アートセラピー

アート

色々な画材を使って自由に絵を描くアートセラピー。頭で考え、自分から手を動かして楽しむことで、積極的に生きる活力を取り戻し、認知症の改善や介護予防に役立つといわれています。
また、まわりの人と一緒に取り組むことで、会話が生まれ、表情も生き生きとしてきます。上手に描くのが目的ではなく、五感を通して自由に描きたいものを描き、いつの間にか上がらなかった手が上がっていたり、一人で立ち上がっていたりすることも。出来上がったときの達成感も大きな癒しになります。

●ハンドセラピー

ハンド

手は第二の脳といわれる、感覚の鋭い部分。その手を、セラピストの手で丁寧にケアし、時間をかけてスキンシップすることでリラクゼーションや癒しにつなげるセラピーです。
手をほぐすことで全身がほぐれ、精神的にも安定し、また手への刺激が脳に働きかけ、活性化を促します。関節痛やしびれの緩和、肌の乾燥予防など、高齢者に役立つさまざまな効果が見込めるハンドセラピー。施設での導入や、高齢の家族へのプレゼントとして、人気が集まっています。

●アロマセラピー

アロマ

認知症の予防と改善に、アロマセラピーが効果的であることは実証され、アロマオイルを用いたマッサージで、アルツハイマー病の症状に薬と同等の効果が見られたとの報告もあります。また認知症予備軍の高齢者に関しては、一週間のアロマセラピーによって正常範囲にまで改善した例も。
さまざまな香りのアロマオイルで嗅覚を刺激し、それが脳に伝わって、機能回復や活性化につながると考えられています。さらに心地よい香りによって気持ちを安定させたり、楽しい記憶を呼び覚ましたりといった心理的な効果も期待できます。

以上、高齢者の心と体に優しく効く、各種セラピーを見てきました。
海外では古い歴史を持つセラピー。日本ではまだまだこれからですが、その効果は体験した人から口コミで広がり、セラピストを目指す人も増えてきています。
病院や薬とはまったく異なる、これからの新しい治療の選択肢として、またケアの一環として、ぜひ積極的に採り入れていきたいですね。

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