ここが大切 ! 認知症の利用者様への接し方とコミュニケーション

加速する高齢化社会の日本で、いま認知症の患者は700万人を突破したといわれています。
これはつまり、65歳以上の5人に1人が認知症に罹患するという計算に。
介護福祉施設で勤務する介護士なら、認知症の利用者と接するのは日常といえるでしょう。

しかし、その人それぞれで症状や重さが違うこともあり、認知症の方々とのスムーズなコミュニケーションはなかなか難しいのが現実。介護するにあたっての悩みどころですね。
そこで今回は、まず認知症という病気についておさらいしつつ、上手な接し方、コミュニケーションの取り方について、お伝えしていきたいと思います。

認知症の状態とはどんなもの?

認知症とは、「正常に発達した脳に、記憶・判断力などの障害が起こり、日常生活に支障をきたすような病的状態」のこと。
必ず現れる症状が、以下の「中核症状」です。

●記憶障害

たった今したこと、聞いたことが思い出せない
かつては覚えていた記憶が消えてしまう

●見当識障害

時間や場所の感覚がなくなる
よく知っている道順などがわからなくなる

●実行機能障害

電化製品や、自販機などの使い方がわからない
事前に計画をたてることができない

●理解力・判断力の障害

ものごとを考えるスピードが遅くなる
いつもと違うと混乱しやすい

「あれ?」と思われた方もいるのではないでしょうか。
そう、認知症といえば思い浮かぶのが「徘徊」「暴言・暴力」「幻覚・妄想」「異食」などの困った症状ですが、中核症状にはありません。
実はこれらはBPSD(周辺症状)といい、不安や焦り、ストレス、被害感、体の不調などをきっかけに初めて現れてくるものなのです。
つまり、このBPSDを発生させるきっかけを取り除いてしまえば、記憶障害などはあっても、その人らしい穏やかな人格が保てるというわけです。

それでは、認知症の利用者の方のBPSDをできるだけ抑えて、その人本来の姿で暮らしていただくために、介護する側はどのように接すればよいのでしょうか。

認知症の方に接するときの心構え

①相手の言うことをまず受け入れる

たとえ間違っていることでも、いったんは受け入れましょう。正しいことを理解させようとしても、混乱してますます頑なになるだけです。本人の主張を受け入れる態度で接すると、こだわる気持ちも和らぎます。

②自尊心を傷つけないように

失敗や物忘れを繰り返したとき、責めたり、頭ごなしに否定するのは禁物です。教え込んでもプレッシャーを与えるだけ。自尊心を傷つけないようフォローしましょう。

③相手の世界を理解し、それに合わせる

認知症の人は、自分の作り出した世界に住んでいます。もちろん現実とはギャップがありますが、そこを指摘するのはNG。たとえば「お母さん」と呼ばれたら否定せず、お母さんになってあげましょう。その世界を理解し、ときには一緒に入って演技をすることも必要です。

④好きだったことや役割を知り、続けてもらう

主婦だったなら洗濯物たたみや配膳を頼んだり、歌が好きだったなら誘って一緒に歌うなど、できること、得意なことを続けてもらいましょう。そして褒めたり、感謝の気持ちを伝えれば、達成感と満足感で満たされ気持ちも安定します。

⑤愛情と優しさを忘れない

たとえ無表情に見えても、感情はしっかり残っているのが認知症です。いらいらしたり、事務的な接し方をすると敏感に感じ取り、情緒不安定に。常にその人らしさを尊重し、話に耳を傾け、こまめに声をかけるなど、愛情のある接し方が、気持ちを穏やかにします。

⑥言葉ではないコミュニケーションも大切に

認知症の人には感情が豊かに残っているため、感情に働きかける接し方も効果的です。
温かい眼差し、優しい仕草で関わりましょう。手を握ったり、背中をさする、肩を抱くなど、ボディランゲージはとくに有効。言葉では伝わらない大きな安心感を与えます。

⑦思い出話に耳を傾ける

認知症の人にも、ひとりひとり物語があります。
遠い昔の出来事は、比較的覚えていることが多いので、ぜひ聞いてみてください。自分が一番輝いていたころの話をすることで、不安が軽くなり、自信を取り戻すことも少なくありません。
昔の写真、思い出の品を用意して、回想を助けてあげるのもおすすめです。

いかがでしたでしょうか。
認知症は「治す」ことはできない病気ですが、「緩和する」ことはできます。
症状をコントロールし、その人らしい豊かな暮らしを続けていただくために、日々接する介護スタッフの役割はとても大きいといえるでしょう。

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