マイナンバーに医療等ID、介護サービスへの影響は?

マイナンバーの呼び名で知られる12桁の「社会保障・税番号」。この数字には、その人の所得や税金・年金などのさまざまな個人情報が紐づけられています。
個人あてにマイナンバー通知が始まったのは2015年10月以降、そして2016年1月には社会保障・税分野での利用がスタートしました。

再来年には国・地方自治体間での情報共有が可能になりますから、もう添付書類や証明書を発行してもらうためにあちこち足を運ぶ必要はなくなりますね。もちろん、今まで複数の書類チェックに追われていた行政機関の作業効率もずいぶんアップするでしょう。

そして、マイナンバー制度は「払うべきものは払う」「もらえるものはもらう」といった社会保障や税金面での公正・公平化を徹底するのも目的の1つのようです。
究極の個人情報ともいえるこのマイナンバー。介護の現場ではどのように関わっていくことになるのでしょうか。

利用者の個人情報を勝手に見られるようにはならない

もともと、利用者の収入や病歴、家族構成などの個人情報にふれる機会が多い介護スタッフ。でも、「もし利用者の情報が外部にもれたら…」などと考え、マイナンバーの取り扱いに不安を感じるスタッフも中にはいるようです。また、逆に「私の個人情報が介護スタッフに筒抜けになるの?」と不安を感じる利用者もでてくるはずです。

たしかに今後は、施設やサービス利用申請書類にマイナンバーを書くのが当たり前になってくるでしょう。でも、今のところマイナンバーの情報提供ネットワークシステムを使えるのは行政機関だけ。介護サービス事業者は利用者のマイナンバーを行政機関に伝え、個人情報の照合を「代行」してもらうというかたちです。いくらマイナンバーを知っていても、事務所のパソコンから利用者の個人情報をのぞき見…なんてことはできません。
利用者にこういったことをきちんと説明し、不安を取り除いてあげるのも介護スタッフの役目になりそうです。

また、一定の条件を満たせば介護施設にマイナンバー通知を送付してもらえるケースもあります。スタッフがこの登録申請を代行することもできるということも覚えておきましょう。

医療・介護分野では2018年から本格活用される

実は、本格的にマイナンバー制度が介護分野に関わってくるのはもう少し先。2018年からは、マイナンバーとは別に「医療等ID」が順次発行される予定です。
この医療等IDは、介護や医療分野の個人情報を照合するための番号。介護施設や医療機関、さらには行政機関との情報共有が可能になれば、「引っ越し先でも以前と同じ介護サービスが受けられる」「服薬歴や病歴、予防接種履歴確認が確実に行える」「高額療養費等申請に診断書添付が不要になる」といったメリットがあります。

また、将来的にはマイナンバーカードに保険証機能を搭載した「これ1枚さえあればどんな手続きもOK」なIDカードの発行も検討されています。

いずれは介護の現場でも、必要な情報のみ照合するためのカードリーダーの導入、ナンバー取り扱いに関わるスタッフへの教育など、事前準備が必要になってくるでしょう。でも、結果として事務作業効率は格段にアップしますし、利用者情報を正確に把握することで、医療・介護サービス水準アップにも期待できそうですね。

「マイナンバー制度(内閣官房)」 http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/

「医療等IDは2018年度始動、マイナンバーと連携(日経デジタルヘルス)」:http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20150530/420840/?ST=ndh

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