介護職の悩み・他害・自害の傾向がある利用者への対応について

自分の勤めている介護施設の利用者が「自分を傷つけてしまう」または「職員や他の利用者に暴力をふるう」といった悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。

介護施設の利用者が自分を傷つけてしまう「自害(自傷)」や、他の利用者や職員に暴力をふるう「他害」。
施設によっては利用自体をお断りすることもありますが、いざ受け入れてみてから突然こんな問題行動が始まった…ということもあるわけです。
利用者の様子に気を配り、なぜそういった行動をとるのか、どうすれば改善できるのかを考えるのもたしかに介護職員の仕事のうち。ですが、利用者の暴力に黙って耐えるのは業務の範囲外です。
自害行為から利用者を守るため、他害行為から他の利用者や自分自身を守るため、これらの問題に上手に対処していきましょう。

「自害」「他害」の原因とは?

認知症の方の場合、以下のような原因で周辺症状(BPSD)が「自害」や「他害」といった形で現れている可能性があります。

・身体の不調(便秘、発熱、脱水症状、持病の悪化、薬の副作用など)

・環境の変化(引越し、部屋の増改築など環境の変化)

・人間関係の変化(訪問する介護職員の交代、家族と疎遠気味)

(参考『認知症ケアnetTV』http://puremail.sakura.ne.jp/web-content/index4.htm)

BPSDの場合は適切な治療や環境改善で症状を緩和できますので、医師や専門家の協力を仰ぎましょう。
うつ病などその他の精神疾患が疑われる場合も同様です。
また、自尊心を傷つけたり不安な気持ちにさせる介護は、利用者の暴力につながりやすいといわれています。声かけやケアを行う際はこの点を意識しておきましょう。

「自害」行為から利用者を守るために

自害は周りに直接被害を与えるものではありませんが、本人の生命に関わる危険な行為です。根本的な原因がわからない、または治療に要する場合はひとまず自害行為を起こしにくい環境を整えましょう。

自害を頻繁に繰り返す方には、「夕暮れ時や夜中に現れやすい」「タオルで首を絞める」など、ある程度決まったパターンがしばしば見られます。危険な時間帯は職員が目を離さないようにし、自害行為に使われそうな物は目の届かない所に置くなどで対応してみましょう。

また、「淋しさ」や「不安」などが原因で自害を起こす方の場合、職員が話し相手になるだけでも気持ちをそらすことができます。

「他害」行為への対処法は?

介護職員に対して暴力をふるう場合、一番良い対処法はその場を速やかに立ち去ること。危害を加えられるままに我慢する必要はありませんし、興奮状態の方に抵抗したり説得を試みても事態は悪化するだけです。 また、特定の職員や利用者に対してだけスイッチが入る場合は、なるべくお互いが接触する機会を減らすようにしましょう。

介護職員から利用者に対する虐待行為に比べて、利用者の他害行為が表ざたになることはあまりありません。
特に介護職員の場合は、「認知症患者さんだから仕方がない」「これも仕事のうち」と我慢してしまう方も目立ちます。もちろんこれは自分自身を危険にさらすだけでなく、利用者本人のためにもなりません。

自分1人で抱え込まずに上司に相談。事態をうやむやにしないためにも、利用者とそのご家族にいま一度施設の利用ルールを説明する…といった毅然とした対応も必要になってきます。

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