その事故の裏側に~介護現場のヒヤリ・ハット~

利用者さんを介助している最中、ヒヤリとする出来事に遭遇したり、ハッとする状況に出くわした経験、ありませんか?

1件の重大事故の裏には29件の軽い事故、そしてその裏にはこの「ヒヤリ・ハット」が300件ひそんでいるといいます。ヒヤリ・ハット経験を「結果的に何事もなくて良かった」で済ませてしまうと、いつか取り返しのつかない重大事故を起こしてしまうかもしれません。

そこで今回は、実際に起こった介護事故の裏に潜んでいたヒヤリ・ハットを逆引きしてみましょう。ひょっとしたらスタッフがヒヤリとするだけですんだもの、ハッとして対応すれば防げる介護事故。実は結構あるようです。

「転倒・転落」から学ぶヒヤリ・ハット

事例①「車いすから立ち上がろうとした利用者が転落し、頭部打撲」

雑務のためスタッフが席をはずしていたこのケース。その場にいさえすれば、利用者が立ち上がろうとした瞬間ハッとすることができたでしょう。とはいえ、多忙な介護施設ではどうしてもスタッフの目や手が離れてしまう瞬間は出てきてしまうもの。車いすに座り続けるのが苦手な方は、あらかじめソファーやベッドに移乗しておいてもらうと良いかもしれませんね。

事例②「ストレッチャーから落下した利用者が頭部打撲。持病の悪化も重なり、翌日死亡」

ストレッチャーの安全ベルトは外れていたそうです。福祉用具は使用法を間違ったり手順を省くと重大事故につながりかねません。この場合、目を離す離さないに関わらず安全ベルトをきちんと装着するのはもちろん、毎回各部の安全点検も行い、ヒヤリとするほど劣化したものを使うのは避けましょう。

「誤嚥・誤飲」から学ぶヒヤリ・ハット

事例①「吸い飲みで水分を補給する時にむせこまれた」

幸いにも、吸引器で吸引して事なきを得たこのケース。「とろみ加減が弱いかもしれない」ことにハッとしたり、「この姿勢はむせやすいのかも」とヒヤリとした経験は、後々活かされるでしょう。また、飲食物に適度なとろみをつけて無理のない姿勢で召し上がってもらうのは基本です。

事例②「トイレ用消臭液を飲んだ利用者が腸炎になり、翌日死亡」

食べ物でない食べ物を誤って口にしてしまう「誤飲」は、認知機能が低下している方に見られがちな事故です。トイレ用消臭液はどこの家庭や施設にでもよくあるごく一般的なアイテム。ですが、もし誰かが「ここに置くと誤飲する人が出てくるかも!」とハッとすることができたら…防げた事故かもしれませんね。
手の届きにくい場所に置くのはもちろん、洗剤類を紛らわしいボトルに詰め替えないなどの工夫もしておきたいものです。

「誤薬」から学ぶヒヤリ・ハット

事例「他の利用者の薬を飲んでしまった」

この配薬ミスは、食事用トレイに薬の空袋があったことから発覚しました。飲んだのが胃薬だったため、間違って服用した方の体調に特に問題はなかったそうです。
この他にも、朝晩の薬を間違って渡してしまったり、配薬そのものを忘れてしまうなどの「誤薬」関係は少なくありませんので、薬の保管方法を工夫している介護・医療施設は多いようです。(利用者ごと・服薬時間ごとに薬をまとめる、名前ラベルと共に顔写真も貼っておく等)

もちろん、「よく似た名前の違う方の薬だ!」「薬の空袋が確認できないから飲んでいないかも?」といったヒヤリ・ハット経験がある方は、仲間と共有して今後に活かしていきましょう。

「高齢者介護における事故報告書・ヒヤリハット報告書の事例集」: http://zikohoukoku.com/

「介護施設での介護事故・ヒヤリハット」:http://www.songai-hoken.jp/article/14688262.html

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